瘀血(おけつ)

瘀血(おけつ)とは?

本来体の中をサラサラとスムーズに流れるはずの血液が、体のあちこちで滞ったり、血液そのものが汚れてドロドロした血になり流れにくくなった状態を東洋医学では「瘀血(おけつ)」と言います。

瘀血は循環全体のこともあれば、特定の場所に現れることもあります。そしてこの瘀血が体にさまざまな症状を引き起こすのです。

瘀血(おけつ)がひきおこす症状

月経痛・月経不順・婦人病

もともと多量の血液があつまる子宮や卵巣、またその周辺の骨盤内はとくに瘀血になりやすいところです。ここに瘀血があると、月経痛や月経不順をひきおこしたり、不妊の原因となることもあります。また、子宮筋腫や卵巣脳腫、子宮内膜症なども、東洋医学では瘀血の症状と考えられています。

冷え症

瘀血が冷えの原因になることもあれば、冷えることで瘀血をひきおこすこともあります。瘀血の状態は、血液の循環が悪くなっているわけですから、ただでさえ循環が悪くなりやすい末端部分(足先・手先)は、とくに冷えやすいのです。また、下腹部に瘀血があれは、そこの循環が悪くなるので、おなかが冷えるという症状がでるのです。

肩こり・腰痛

血行不良により、その部分に必要な酸素や栄養素が運ばれず、回収されるべき老廃物がたまることで、こりや痛みといった症状がでてきます。「マッサージなどをされている間は気持ち良いのだけど、またすぐに症状がでてきてまう」ということをよく聞きますが、瘀血という体質が改善されないかぎり、再発しやすいのです。

肌のくすみ・吹き出物M

これらは、瘀血のサインともいえます。瘀血があると、血液循環が悪くるため、肌がくすんだり、シミや吹き出物ができやすくなります。

更年期障害

女性は閉経前後にホルモンのバランスがくずれ、更年期障害といわれる症状がでてきます。それに加えて瘀血があると、より重い症状になってしまうのです。

生活習慣病

動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などは、血液の循環が直接関係します。瘀血があるということは、血液の循環が悪くなっているということ。これらになりやすい要素があるということです。また、糖尿病はドロドロした血の代表といえます。肝機能障害も、瘀血と密接な関係があります。

瘀血(おけつ)の症状があるかをみわけるには?

自分に瘀血の症状があるかどうかを知るには、東洋医学の専門家にみてもらう必要があります。ただ、以下の症状がある人は、要注意です。

・生理痛がある。生理周期が不規則。
・肌がくすみがち、ガサガサしている。吹き出物が多い。
・目の下にくまがある。
・肩がこりやすい。腰痛がある。
・冷え性である。
・のぼせやすい。
・便秘がちである。

なぜ瘀血(おけつ)になってしまうの?

瘀血をひきおこす大きな原因は、血液循環の悪化です。血液循環の悪化をひきおこす要因として冷え・運動不足・栄養のアンバランス・ストレスなどがあげられます。

冷え

冷えることによって、血液の循環が悪くなるというのは、多くの方がご存知の通りです。現代は夏でもエアコンがきいていて、一年中寒さ対策を考えなくてはなりません。熱い空気は上にいき、冷たい空気は下にいくため、ただでさえ循環が悪くなりがちな下半身はよりいっそう冷やされ、循環が悪くなりやすいのです。

運動不足

あまり肉体労働をしなくなった現代人は、やはり血液の循環が悪くなりがちです。また運動不足は、冷えを増強することにもなります。

栄養のアンバランス

偏った食事は、ドロドロした血の大きな原因になります。 たとえば、甘いものや油っぽいものをたくさん食べると、余分な糖分や脂肪は、肝臓で中性脂肪に変えられ、血液中の中性脂肪も増える原因になります。血糖値が上がりすぎると、赤血球がくっつきやすくなり、ドロドロした血になってしまいます。また消化酵素(生の食材に含まれる)の不足も、ドロドロした血になる原因のひとつです。

ストレス

都会で生活する私たちは、多くの人が何らかのストレスをかかえているのではないでしょうか? 東洋医学では、感情も体に大いに影響するという見方をしています。とくにストレスを発散せず、内にためこみやすい人は要注意です。

鍼灸治療は、瘀血改善に有効です

鍼灸治療で瘀血を改善するには、1~2週間に1回のペースで約3ヶ月間治療を続けてみてください。それによって以下の症状が認められるようになれば治療が効いているとみます。

・月経時の血液が以前より色が黒く濃くなってきた。または塊りが多くなってきた。
・生理痛や生理前の症状が、楽になってきた。
・下腹部の抵抗感がやわらいできた。
・目の下のくまが、うすくなってきた。
・肩こり、腰痛、冷え性などの症状が改善されてきた。

ある程度の症状改善が認められるようになったら、治療の回数を減らしていってもかまいません。(ただし、治療さえ受ければそれでいいというわけではなく、日常生活を見直し、改善していくことも大切です) もしかして私も?と思ったら、一度みてもらいましょう。

漢方薬も瘀血改善に有効です。最近では手軽に手に入るようになりましたが、漢方薬を飲む場合は、やはり漢方専門家に診てもらい、処方してもらいましょう。

日常生活で瘀血(おけつ)を予防したり改善するには?

瘀血にならないよう予防をしたり、瘀血の症状を改善するには、血液の循環を良くすることです。そのためには、先にあげた瘀血をひきおこす原因を改善していきましょう。

冷え対策

・おなか、腰、足先はとくに冷えやすいところです。しっかりガードしましょう。おなかや腰を温める腹巻は効果大です。足先に対しては、ファッション性などもあると思いますが、靴下を履きましょう。とくに絹の5本指靴下は、血行をよくし、汗や老廃物などを吸収するのでおすすめです。また夏は、いつなんどき冷たいエアコンにさらされるかわかりません。 

1枚よぶんに何かはおるものを持って出かけましょう。 ・お風呂につからず、簡単にシャワーですませる人も多いのではないでしょうか? しかしこれでは体は温まりません。やはりお風呂につかることが大切です。体を温めるには、ぬるめのお湯で長く入るほうが効果的。また半身浴もおすすめです。その場合とくに冬場は、つかり始めに上半身を冷やさないよう、肩に何かはおりましょう。  (「冷え症」の項目もご参照ください)

運動

・血行を促進するような、適度な運動をしましょう。時間や場所がないという方には、部屋の中でもできるストレッチがおすすめです。少しずつでかまいません。それよりも、習慣にして続けることが大切です。

・仕事中、気がついたら何時間も同じ姿勢で動かずに、ずっと作業をしていたということはありませんか? そして肩や腰はバリバリに張ってしまったとか…。 少なくとも1時間に一回は一息ついて、体を伸ばしたり軽く動いたりしましょう。

・運動で血液循環がよくなれば、冷えの解消にもつながります。 ただし、強度の運動はかえって瘀血を促進してしまうことがあります。 適度な心地よい程度の運動が、瘀血改善には適しています。

栄養バランス

・規則正しく栄養バランスのとれた食生活は、健康に不可欠ということは、いうまでもありません。「○○という食品は、○○に効く」といった情報はたくさんありますが、かたよらず、なるべく多くの食材を、バランスよく取ることが大切です。とくに不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維を意識して取りましょう。また女性には鉄分も大切です。もちろん甘いものや油っぽいものの取りすぎは、厳禁です。

・ダイエット中という人は、食事の回数を減らしたり、何か特別なものだけを食べるの ではなく、一回あたりの食事量を減らすようにします。(過激なダイエットは、 とかく続かないし、リバウンドも大きいです)

ストレス

知らず知らずのうちにたまってしまうストレス。現代人とストレスは切っても切れない関係? ストレスがゼロの人なんているのでしょうか? 生きていく上で、多少のストレスはしょうがないかもしれないですね。

しかし、体や精神に多大に影響をおよぼすようになるとつらいものです。東洋医学では、ストレスも気の流れの滞りとみることができます。運動で循環をよくすれば、気の流れもよくなり、ストレス解消に役立ちます。

また、仕事から離れて、なにか好きなことをしたり、リラックスする時間を持つのも いいですね。

            
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