五行論

五行論とは?

「陰陽五行論」という言葉、耳にしたことがあるかと思います。 そもそも陰陽論と五行論は別のもので、セットにして言っているのです。 陰陽五行論は、東洋(中国)医学だけでなく、中国思想のさまざまなものの基礎。 算数でいう、四則計算みたいなもので、これを知らなければ始まりません。

昔から中国思想では、自然界のさまざまな物・事象を「木火土金水」5つの要素に分けました。 何かを理解する上で、「分類する」というのは、よく使われる手ですよね。

「木火土金水」→「もっかどごんすい」 または 「もっかどきんすい」 と読みます。 (私は「もっかどごんすい」と言ってます)

五行のそれぞれの特徴・性質は、 私たちが普通に考える木・火・土・金・水と同じです。 ちなみに英語でいうと、 木はtree、火はfire、土はearth、金はmetal、水はwater。

そしてこの五行は単独で存在するのではなく、お互いに関係性を持っているのが特徴です。

相剋関係

ある五行が他のある五行を 抑えたり、支配したり、弱めたりする関係を「相剋関係」(そうこくかんけい)(ある五行が他のある五行を剋する)といいます。

木火土金水を順番に五角形に並べ、相剋関係を順に見て矢印で示していくと、 次のようになります。

木は土の養分を吸い取ります。 すなわち木は土を弱める。 これを「木剋土」(木は土を剋する)といいます。木→土

土は水を濁らせたり、せき止めます。すなわち土は水を弱める。これを「土剋水」(土は水を剋する)といいます。土→水

水は火を消します。 すなわち水は火を弱める。 これを「水剋火」(水は火を剋する)といいます。水→火

火は金を溶かします。 すなわち火は金を弱める。 これを「火剋金」(火は金を剋する)といいます。火→金

金は木を切ったり削ったりします。 すなわち金は木を弱める。 これを「金剋木」(金は木を剋する)といいます。金→木

あ~ら不思議、最後には星の形ができました! 五行の関係の中には、星が隠されているのですね!!

相生関係

ある五行が他のある五行を 生じたり、育てたり、強めたりする関係を「相生関係」(そうしょうかんけい)(ある五行が他のある五行を生じる)、 または「母子関係」「親子関係」といいます。

相生関係は、木火土金水の順番で関係がつながっています。

木生火 木は燃えて火を生み出します
      (木は火の母、火は木の子)
火生土 火は燃えて灰となり土になります
      (火は土の母、土は火の子)
土生金 土は重なり積もって金(鉱物)を生みます
      (土は金の母、金は土の子)
金生水 金(鉱物)の間を通って水が出てきます
      (金は水の母、水は金の子)
水生木 水は草木を育てます (水は木の母、木は水の子)

相剋関係の星形と合わせると、 どこかで見た模様ですよね。 そう、陰陽師にも出てくる五芒星(ごぼうせい)です。 五芒星は五行の相生・相剋関係を示しているのです。


次に、五行の中のひとつ「木」を中心に、「木」と他の四行とのそれぞれの関係をみてみましょう。

木にとって、、、

水は、自分の母であり、自分を育ててくれるありがたい五行。水のお陰で自分の力が強くなります。

火は、自分の子であり自分が奉仕する五行。自分が燃えて火の力を強め、その分自分の力は弱まります。

土は、自分が剋する相手で、土の栄養分を吸収し、土を弱めます。木は土より強い存在です。

金は、自分を剋してくる五行で、一番ありがたくない五行。金に切り刻まれ、自分の力は弱められます。

木にとって、他の四行がそれぞれの役割・立場を持っているわけです。で、お隣同志の相生関係は、エネルギーの流れがスムーズな関係、相剋関係は、摩擦が伴う関係です。でもだからといって悪いわけではありません。自分を剋してくる相手は、自分の行きすぎを抑えてくれるものです。ちょっとカチンとくるけど、自分を戒めてくれる存在って必要ですよね。

ある意味五行の相生・相剋関係は、補われたり、与えたり、抑えたり、抑えられたり、、、で、五行のバランスをとっているのです。そしてこのバランスが大切!! なんです。

では、五行:木火土金水って、東洋医学とどういう関係があるのでしょう?

五臓六腑にしみる~なんて言ったりしますよね。この五臓六腑って知ってますか?

五臓=肝・心・脾・肺・腎
六腑=胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦

この漢字をみて、どの臓器か、だいたいおわかりいただけるかと思います。ちょっとわかりづらい点として、

・脾は脾臓なんですが、実際の臓器としてはすい臓の働きと考えられています。
・三焦なんて臓器、ないです。 これは臓器ではなく機能とお考えください。身体の上から下までの水分代謝、流れみたいなものです。今回はとりあえず三焦のことは深く考えずすすめていきます。

肝は肝臓、心は心臓、腎は腎臓、胆は胆のう、あとはそのままです。

で、この五臓五腑(三焦を抜かして)が五行・木火土金水にあてはめられ、かつ、それぞれの行を陰陽にわけて臓腑が配当されます。 臓が陰、腑が陽。まとめると、

  臓(陰) 腑(陽)
小腸
大腸
膀胱


五臓六腑はそれぞれ単独で存在するのではなく、それぞれ関係を持っています。

心(心臓・五行の火)を例にしてみましょう。 鍼灸治療では、心臓が悪いからといって、心臓のツボだけに鍼をするわけではありません。 他の臓腑がどのようになっているか、詳細に見ていきます。

たとえば、心拍数が速くバクバクしてしまうという場合、心の機能が行き過ぎている、亢進しているわけです。

そんな時、行き過ぎを抑えてくれる相手って? そう、火と相剋関係にあり、自分を剋し抑えてくれる水、すなわち腎の機能が必要になります。

ところが、もし腎の力が弱い場合、心の行き過ぎを抑えることができなくなります。こんな時、心の行き過ぎを抑える治療だけをするのではなく、弱い腎を補う必要があるのです。

これは説明のための簡単な例ですが、こんな感じに五行論を使って、治療をしたりしています。

同じ様な症状といっても、人それぞれ微妙に違うわけです。ですから鍼灸治療では、オーダーメイドの治療が必要。また、それが鍼灸治療のおもしろいところでもあります。

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